中小企業における失敗しないインターンシップのやり方

正社員採用のためにインターンシップ(入社前の就業体験)を始める企業が増えている。入社3年以内に離職する人の割合は3割強とも言われる中、就職後のミスマッチを防ぐ効果もあるという。

但しインターンシップのやり方は企業によって様々のようだ。短期は2~3日から、長期では6カ月以上にも及ぶという。大企業ならともかく、中小企業のように資金的な余裕も少なく、人が集まりにくい中でのインターンシップはどのように行なえばよいのだろうか。

林俊範先生は、スモールビジネスにおける正社員採用プログラムを「ターゲットセレクション」としてマニュアル化されていた(SVマニュアル参照)。あらゆる手段を講じて優秀な人材を見つけ出し、就業体験を通して採用するという実験・検証されたやり方だ。

林先生のテキストでは、この「ターゲットセレクション」期間のことを「O.J.E」と書かれている。「オン・ザ・ジョブ・エグザミネーション」の略なので、単なる就業体験ではなく就業試験ということになる。採用・不採用は実際の就業を通して決定される。方法は2種類。「パート・アルバイト経験者からの正社員採用」と「新卒者や紹介での正社員採用」とに大別される。

後者の新卒者の採用プログラムの場合は、スーパーバイザーによる職場見学(オフィスツアー)と食事招待から始まる。その後5日間の就業体験に入っていく。体験する仕事は基本的な現場業務、つまりパート・アルバイトと同じ仕事をしてもらう。5日間一緒に現場作業をすることで、その人の仕事に取り組む基本姿勢が分かるという。

その場合の時給は必ず基本時給の1.5倍を支払うこととされている。たとえば時給1,000円の職場なら1,500円を払うことになる。大盤振る舞いのような気もするが「O.J.E」における大事なルールとなる。

また、5日間の就業体験前に面接をしてしまわないことも重要とされている。5日後の店長による勤務評価の結果がOKであれば面接となる。面接後、さらに30日間のパート・アルバイト体験を経て晴れて入社となる。かなり念入りに人物と仕事のやり方を見ることができるので、ミスマッチもかなり防げるだろう。

一方、現場パート・アルバイト経験者からの正社員採用は少しやり方が違ってくる。正社員候補の人選は、在籍しているパート・アルバイトや退職者リストから行う。職場見学と食事招待から始まるのは新卒者と同じだが、就業体験は初めから30日間のスタートとなる。

この場合、同じ職場であっても現時給の1.5倍を支払うのがルール。30日後に店長の勤務評価でOKが出れば、スーパーバイザー面接を経て正式に正社員採用となる。但し、残念ながら店長評価や面接で不採用となった場合でも、もとのパート・アルバイトに戻ることができる。チャレンジするパートさんにもかなり安心感がある。ちなみに正社員の30%をパート採用で目指すべきだと林先生は言われていた。

以上のやり方を正確に実践すれば、正社員採用後のミスマッチはほとんどなくなる。時間や費用も浪費せず、早めにお互いの適性を確認することができる。

なぜ時給が1.5倍なのか理由は定かではないが、私自身この就業試験のチャレンジに難色を示すパートさんは今まで見たことがない。やはり実験・検証によって導き出された結果なのだろう。

日本における一般的なインターンシップは新卒採用に的を絞って行なっているが、この「ターゲットセレクション」の場合は年間を通していつでも行えるのが特長となる。

突然の離職などで正社員の採用が今すぐ必要となった時や、よい人材が見つかった時点で手堅く即採用できる点はスモールビジネスにとってありがたい。

ちなみに林先生のマニュアルには「女性のレーバーマーケット(労働力市場)の掘り起こしが重要である」と明記されている。今後は女性の正社員採用が人財獲得のカギになることは間違いない。

多くの中小企業が「ターゲットセレクション」で埋もれる高質な人財を発掘すること願いたい。

ピープル・ビジネス・スクール 中園 徹