中小企業のお金をかけないパート・アルバイト人材確保

パート・アルバイトの人手不足が深刻さを増しているという新聞記事が目立っている。そのため有料求人広告や採用代行のビジネスは好調だという。大手企業ならともかく、中小企業は求人費コストをかけられない。どうすればいいのか。

私自身も店舗経営を始めた時に、パートさんが辞めると店長が平然と「人が足りないので求人誌をお願いしまーす。」と言ってくることに腹が立ったものだ。一体いくらかかると思っているんだ。簡単に5万、10万円が消えていく。やっと稼いだ利益も減ってしまう。

そんな時に林俊範先生に出会った。「店のリクルートは店長の仕事です。店長がお金をかけずにパート・アルバイトを確保するんですよ」と教えられた。

林先生が体得されたアメリカ・マクドナルドの仕組みは、フランチャイズ経営者を成功させる仕組みだ。オーナーが利益を確保するために無駄なコストは極限までなくす。そのためにお金をかけずにパート・アルバイトを確保することが店長の教育プログラムになっていた。それが「リクルートの6STEP」だ。

<リクルートの6STEP>

STEP1 : 店舗イメージ

STEP2 : 友人紹介制度

STEP3 : お客様からの採用

STEP4 : コミュニティとのコンタクト

STEP5 : コミュニティで行う広告

STEP6 : 商圏内プログラム

我々も疑いながらもステップ通りに実行してみると、パートさんの求人誌コストはほぼかからなくなった。

林先生のテキストには次のように書いてある。

「リクルート活動は、マーケティング活動と良く似ています。商品でなく仕事を売るというところが違いますが、実際の活動、優先順位、誰にアプローチするかなどについては、似ています。リクルート関係の活動は、すべて互いに関連し合っています。」 (「パート・アルバイトのリクルート活動」より)

パート・アルバイトの人材確保が、店舗にお客様を呼ぶマーケティング活動と同じだというのだ。つまり、ターゲットを決めて地道な活動をすることによって人材を確保できるという。ただ注意点として次のように書かれている。

「注:リクルート活動は、必ずSTEP1から始め、そのSTEPが終わらない限り、 次のSTEPへは進んではいけません。先に次のステップへ進むのは、時間と費用の無駄になります。」

STEPは1から6まで順々に進めることが大切であり、確かに安易に進めると費用は無駄になる。STEPごとの実行ポイントについて考えてみたい。

<STEP1:店舗イメージ>

STEP1では店舗イメージを整えるようになっている。パート・アルバイト応募者の身になれば、自分が働く店をまずチェックするだろう。その店が汚ければ行かないだろう。だから、まず店の外観や店内の雰囲気をきれいにしなさいと教えている。

 

<STEP2:友人紹介制度>

現在、店で働いているパート・アルバイトから新たな人材を確保する方法である。重要な成功要因は2つある。「報奨制度」と「店の雰囲気」。

報奨制度は、もし友人を紹介してくれたパートさんがいたら、1カ月100円時給をアップするというもの。高いと思うかもしれないが、求人誌に出すことを考えたらかなり安い。ただ、店の雰囲気が明るく楽しいことが前提条件でもある。

テキストにある注意点は次の通り。

「パート・アルバイトは仕事が楽しくなければ友人を紹介しようとは思いません。ですから友人紹介制度を導入して、価値ある褒賞があるといっても誰も紹介してこない場合は、問題があるということになります。

このような場合は、このプログラムを直ちに中止してください。店の問題を確認し、それが改善できるまでリクルート活動を続けてはいけません」

厳しい。確かに店の雰囲気が悪ければ、いくらリクルートをかけても費用は無駄になる。慢性的な人手不足の店はこのパターンが多い。大抵は店長の問題なのだが。

 

<STEP3:お客様からの採用>

店内に求人ポスターを張ることも方法の一つであるが、ここで大事なのは店長がいい人を見つけたら直接声をかけるというものだ。ポイントは次の通り。

「マネジャーは見込みのありそうなお客様に目を光らせていなくてはなりません。可能性のありそうな人を見つけたら、質の高い働き手を捜しているということを、その人に説明すると良いでしょう。」

やり手の創業社長などは皆これがうまい。お客様だけでなく、あらゆるところに目を光らせて「これだ!」と思った人は所構わず声をかけてリクルートしている。やり手のマネジャーになってくると同様にどこからでもスカウトするようになる。店に来たヤクルトレディをスカウトした人もいた。

 

<STEP4:コミュニティとのコンタクト>

友人紹介制度や店内求人告知で人材確保が足りない時は、地域社会(コミュニティ)に店長が個人的にコンタクトを取る。大学や専門学校、公共施設や映画館、自治会や商店会、スーパーマーケットを指す。ハローワークや地域のコミュニティサイトなどもここに入ってくる。

 

<STEP5:コミュニティで行う広告>

地域にコンタクトを取ったら次の段階として告知を行なう。ハローワークや地域サイトへの告知は無料で人材確保できる強力な方法となる。

また新規出店のグランドオープン時は、企業(店舗)イメージをPRする有効な手段となる。

 

<STEP6:商圏内プログラム>

ここではじめて有料の求人広告や折り込みチラシの実行に入る。このSTEP6の注意点として次のように書かれている。

「商圏内プログラムは、多くの人々にメッセージを伝えることができますが、あまり手ごたえがないばかりか、費用がかかるうえに受身のものです。商圏内プログラムを使うかどうかは、慎重に決定しなくてはなりません。他の5STEPを行うまでこれは絶対に使うべきではありません。」

店長を育成するためにも安易にSTEP6は行ってはいけない。費用が掛かるだけでなく、店長自信が育たないからだ。ただし、グランドオープンの時だけは例外で、この商圏内プログラムから始めて地域に告知することが大切だという。

以上が店長の実践するリクルート活動のポイントとなる。

私は店長にリクルート活動をさせる前まで、商圏内プログラムしかしていなかった。知らないということは恐ろしい。もしリクルート活動がなければ、社長一人が人材不足とお金のことで悩み続けなければいけないのだ。

この店長のリクルート活動は、金額としてはカウントしにくいが、会社にとって多大なるコスト削減になる。だからピープルビジネスでは、店長の評価基準に人材確保が入っているのだろう。また、店長自身が苦労して確保した人材は、会社が採ってくれた人材よりはるかに大切にすることもまちがいない。

先日、はじめて店長のためのリクルート活動だけにテーマを絞った勉強会を開催した。

 

(店長(マネジャー)のための実践講座「パート・アルバイトのリクルート活動」)

受講者の中には、人手がないと言われる介護施設のパート採用をコストをかけずに実行している愛知県の社長も来られていた。また、関西で10店舗のサロンを展開する企業もグループで参加されていた。新規出店をのぞいて、求人広告のコストはゼロだという。お客様の採用や友人紹介が活発で、優秀なパートさんは社員登用するという流れができている。まさに理想的なリクルートシステムだ。

中小企業を取り巻く環境は本当に人材不足なのだろうか。人材不足で悩む企業がある一方で、働きたいけど働けない女性や主婦も多くいると聞く。求める企業と、働きたい人材とのマッチングがうまくいってないこともあるだろう。

以上のリクルートSTEPを是非、忠実に実行すれば慢性的な人手不足から解放されるだけでなく、年間を通して大きなコストダウンにもつながるのではないだろうか。

リクルートの6STEPが、中小企業の収益アップと埋もれている人財の発掘に役立つことを願いたい。

ピープル・ビジネス・スクール 中園 徹