超短時間勤務をする人は何を求めているのか

超短時間勤務の主なる人たちは「主婦や60歳以上のシニア」です。彼ら(彼女ら)は、仕事に何を求めているのでしょうか?

「生活費の足しにしたい」

「短時間でも、稼げる仕事があればいい」

「空いた時間を有効に使って収入につなげたい」

雇用する立場から考えると、まず収入面のことを推測するかもしれません。しかし、実際はそんな単純なものではないようです。

私がある40歳代の主婦の方に聞いた話です。彼女は結婚まで生命保険の営業社員だったそうです。結婚・出産を機に退職。しばらくしてパート・アルバイトを始めたそうです。

食品加工や清掃のパートを経て、複数の店を経営するパン屋さんに入ったそうです。週3日ほどの勤務で働きやすかった上、行列のできる繁盛店だったのでやりがいを感じていたとのこと。

1年も経つと仕事にも慣れ、パンを焼くことから材料の発注、営業活動までこなすようになったのです。

収入面で不満があったわけではありませんが時給は一向に上がらず、入って1ヶ月の高校生と同じ時給だとわかった時にショックを受け退職したそうです。

本人曰く、「お金に不満があったわけではありません。ただ、仕事で頑張ったことを認めてほしかった。」と。

ある70歳代の男性に聞いた話です。その方は介護の送迎ドライバーとして週に2~3日、1日2~3時間勤務されています。

以前は建築関係の会社経営者だったそうです。その方が時には1日たった1時間のために出勤することもあるそうです。なぜ働くのか理由を聞いてみました。

「別にお金に困っているのではない。70歳を越えても働く場があるだけで嬉しい。ありがたいからやっている」とのことでした。

主婦層やシニアが仕事に求めることは必ずしも収入だけではないようです。

むしろ、「仕事を通して成長したい」「人の役に立ちたい」「社会とつながっていたい」など、人間の持つ承認される欲求が大きいようです。

私が初めてパートさんを雇用した時に考えました。「パートさんは、ある程度仕事に慣れたら、ずっと長く働いてくれるだろう」と。とんでもない間違いでした。

ピープルビジネスでは、パート・アルバイトの人たちを3ヶ月ごとに勤務評価します。たとえ昇給しなくても必ず評価面談を行なうようになっています。

短時間で働くパート・アルバイトだからこそ、仕事ぶりを認める機会が必要であり、離職を防ぎ、末長く勤めてもらうために不可欠なのです。

働く一人ひとりが「何を求めているのか」を理解して、定期的に仕事への評価と感謝を伝えることが超短時間勤務を活用するために最も大切なこととなります。

 中園 徹