社員の売上を3倍にする方法

17 2月

これまで、正社員だけの企業経営は困難であることをお伝えしてきました。では、その打開策は何なのでしょうか。それは社員の稼ぐ売上を飛躍的に高めることです。

今回は社員の生産性を3倍にする方法をお伝えします。この方法に業種・業態は関係ありません。誰でも実践できる簡単なものです。

売上を上げている仕事は全体の30%以下

社員の方は本当に日々忙しく働いていることでしょう。では忙しい仕事の中身はどうでしょうか。本当に売上に直結する仕事は全労働時間のうちどれぐらいあるでしょうか。

私は様々な業種の現場にお邪魔する機会があります。そこで共通するのは、社員の方が行なっている売上に直結する業務は、全労働時間の3分の1程度だということです。

以前、ある家電メーカーさんから訪問修理をするサービスマンの業務改革の相談を受けました。全国の営業所には年収600万円の専門職が2人体制です。ある営業所を調査してみると、2人が実質的に修理に当てていた時間割合は16%でした。別の高い営業所でも25%だったのです。この2人が売上に直結しない業務をすべて権限委譲すれば、修理時間を単純に3倍増やすことができます。しかもお客様の待ち時間も大幅に短縮できます。

では、売上にと直結しない業務とは何でしょうか。それは本人でなくてもできる「仕事の準備」や「書類作成」「単純作業」などです。ひどい場合は「探している」「歩いている」「ただ待っている」などもあります。

どんな専門的な仕事でも3倍にできる

「そんなこと言っても、専門的な仕事や特別な資格がいる仕事はムリだろう」というご意見もあります。確かに世の中には特別な資格と技能を必要とする仕事があります。医師、看護師、歯科医師、歯科衛生士、弁護士、税理士、等々。法的にも有資格者が行なわなければ違法行為になってしまうものです。

しかし、その方たちの仕事も業務分析してみると、「国家資格を有する者でなければならない」という内容は30%以下であることが多いのです。 創造性を必要とする芸術などの世界でも同じです。アニメ製作の宮崎駿氏もすべての絵を描いてはいません。むしろ芸術の分野の方が分業のマネジメントができているのかもしれません。

どんな仕事でも、本当にその人でなければできない仕事は少ないのです。できることだけに集中すればいいだけなのです。では、どうすれば稼ぐ仕事に集中することができるのでしょうか。具体的な手順について次の通りです。

社員の業務を洗い出して分類する

医療の世界でも看護師不足が深刻です。千葉のある病院では、本来看護師さんが行なっていたシートのカットなどの準備作業を障害者スタッフに役割分担しています。そのことで看護師さんは本来の業務に割く時間が増え、生産性の向上に成功しています。

専門的な資格や、特別な技能が要求される分野でも生産性アップは可能なのです。まず、社員の方が行なっている日々の仕事と、それにかかる時間を洗い出してみてください。本当にその社員さんでなければいけいない仕事が見えてきます。あとは「誰に任せるか」あるいは「その作業はやめるか」を決めるだけです。

現場の収益性を飛躍的に高めるための原則

業務の洗い出しと分類ができたら、あとは振り分けるだけです。会社の収益を高めるためにも「80:20の法則」は応用できます。国際的にみても収益性の高い企業には共通項があります。それはマネジメントをする社員に対して、パート・アルバイトなどの作業従事者の総労働時間の比率が高いことです。労働時間の比率の原則は、社員が20%以下、パート・アルバイトが80%以上です。マクドナルドなどは95%以上がパート・アルバイトです。

「いや、うちの仕事はムリ!」と考える前に、是非一度「業務の洗い出し」をしてみて下さい。本当に大切な、難しい業務は従来通り社員さんがすればいいのです。大きな可能性に気付くはずです。

本当に大切なことに集中すれば品質も上がる。社員の給与待遇もアップできる、それだけでなく労働時間も大幅に短縮できるのです。社員が末長く幸せに働くことのできる労働環境が実現できるのです。是非実践してみて下さい。

「仕事の中には、パート・アルバイトで十分やれるものがいくらでもある。そういうものはなにも、社員にやらせる必要はない」 藤田田

中園 徹