今やどこの企業も人材不足。大企業が新入社員の獲得合戦に走る中、中小企業で質のいい社員を確保するのは至難の業である。何か打開策はないのだろうか。
本当は正社員を中心とした経営は限界を迎えているのではないか。
今から40年以上前に、今日の現状を予言した経営者がいた。日本マクドナルド創業者の藤田田氏だ。
彼は日本を代表するベンチャー企業、ソフトバンクの孫正義氏やユニクロの柳井正氏が敬愛してやまない人物である。その藤田田氏が1971年マクドナルド創業時に語った言葉とは。
「フルタイムの人間を雇用しようとすれば、企業経営は困難である。一日中働ける人を雇うという考え方では、これから儲からない時代になっている。これからはパート・アルバイトの時代。パート・アルバイトをいかに戦力として使うかが、企業発展のポイントになってくる。仕事の中には、パート・アルバイトで十分やれるものがいくらでもある。そういうものはなにも、社員にやらせる必要はない。」
日本マクドナルドも創業当時は、見たこともない食べ物を売る会社として人材不足に悩んだそうだ。募集しても大卒どころか、パート・アルバイトの確保にも苦労している。
そのマクドナルドが創業から、たった13年で1,000億企業に発展できたのもパート・アルバイトを戦力化したからに他ならない。もし、マクドナルドが正社員主義だったら実現はしなかっただろう。なぜなら、正社員だけの運営では収益が確保できないからだ。
「いや、マクドナルドならパート・アルバイトで経営できるだろうが、うちの商売では無理だ。ハンバーガーを作るような簡単な仕事じゃないんだ」と思う人も多い。いや、ほぼ99%の人がそう思うのではないだろうか。
藤田田氏は語る。
「仕事の中にはパート・アルバイトで十分やれるものがいくらでもある。そういうものはなにも、社員にやらせる必要はない。」
「経営者の中にはパート・アルバイトを使ったのでは売上が伸びないと思いこんでいる人もいる。実際は十分に戦力となりうる。むしろ正社員を雇おうと考えるから難しいのだ。頭の切り替えが必要である 」
マクドナルドというビジネスモデルも、本来は調理という職人の仕事を変革したからパート・アルバイト化できたのである。ここは間違えないでいただきたい。「パートでもできる商売だった」のではなく、「パートでできるような商売にした」ということだ。
ここでさらに東京大学出身の藤田田氏は力説する。大卒の正社員だから売上を上げるのではなく、パート・アルバイトだからこそ売上が伸びるのだと。
「パート・アルバイトこそ現場の主力」との頭の切り替えこそが、現状の経営問題を解決する糸口となるだろう。
「フルタイムの人間を雇用しようとすれば、企業経営は困難である」藤田田
中園 徹