整骨院経営での「生産性」の重要性を痛感

株式会社アヴァンティ・プラス / 代表取締役  近藤 春朗 様

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整骨院経営での「生産性」の重要性を痛感

私は平成18年4月に、10年間の病院勤務を経て、接骨院を開業しました。ところが現実は甘くなく、一日の来患数が30人を超えるのに開業してから半年、平均30人を維持できるようになるのに、さらに1年半かかりました。果たしてこのままで良いのだろうかと、先が見えない不安な気持ちを抱えながら、毎日を過ごしていました。 不安な日々の中で偶然出会ったのが、整骨院・経営コラム「利益のピラミッド経営法」という中園先生のコラムでした。その中身を熟読し、自分は「治療の技術は学んできたけれど、経営の勉強はやったことがない」ということに初めて気づきました。 その後、「トルマリンホットパックによる経営改善セミナー」の告知を見つけたので、大阪まで受講に行きました。そこで、「生産性」という考え方を聞いてとても感銘を受け、また「セルフサービスもサービスの一つ」ということを聞いて、とても衝撃を受けました。それまで私は、サービスを手厚くさえすれば、患者さんが喜ぶと思っていたのですが、そうすることで効率の悪さから生産性が下がり、パートさんの精神的・肉体的負担が増えるということに全く気が付かなかったのです。

技術だけではビジネスに結びつかない

それからしばらくすると、今度はタオさんが「ふくらはぎケア専門店」をオープンされたという記事を見つけ、とても興味があったので、お客として訪れることにしました。このとき施術を受けたふくらはぎケアは、至ってシンプルで、正直すぐに真似ができるなと思いました。 case_08 そこで一生懸命思い出しながら練習をして、なんとか再現できるようになったところで、クルーさんにも口伝でふくらはぎケアを教えてマスターしてもらい、実際に馴染みの患者さんに体験していただきました。ところがどうも、うまくいかないんですね。処置の仕方は正しいはずなんですが、思うような結果にならなかったのです。 そんな折、「ピープル・ビジネス・スクール」のセミナーを受けたところ、なぜ技術だけを真似しても売れなかったのかが分かりました。スタッフの人数やマニュアルの必要性、トレーニングのやり方、マーケティングのやり方、すべて知らなかったのです。それに気づくとすぐに、ふくらはぎケアのライセンス契約を結ばせていただき、「ふくらはぎセラピスト養成学院」に入学して講習を受けることにしました。   グランドオープンに向けて準備が着々と進んでいた矢先、1人のクルーさんが来ないという事件がありました。何の連絡もなく、心配になって自宅へ訪ねても応答がない。オープンも近いのにどうしようと途方に暮れ、次の日、アドバイスのためにいらっしゃった中園先生と川村さんに、恥を忍んで相談しました。すると中園先生が「よくあることです」と言うのです。川村さんも「オープン前で良かったですね」と。そして、「グランドオープンを一ヶ月遅らせましょう」「すぐにスタッフィングを、あと2名お願いします」と言われました。この間、たったの5分です。本当に感心しました。   ふくらはぎケアを導入して良かったことは、クルーさんがクルーさんを育てるトレーナーという役割を担うことができるようになったことでした。そして、不思議と人財が高質になっていくのが分かりました。というのも、ふくらはぎケアを一つのツールとして考えると、同じツールを学んで知識が共有されることで、クルーさん同士のコミュニケーションが良くなるんですね。 売上も変化しました。人件費の65%ぐらいは、クルーさんだけで売上を出すことができるようになったのです。人件費のリスクが下がって経営がとてもラクになりました。ライセンス契約をして、マーケティングを学んだことも大きいですね。

店舗展開のハードル

case_09 ふくらはぎケアを導入して2年ぐらい過ぎると、来患数が平均40人を超え、もうすぐ50人という程になりました。ふくらはぎケアも好調で、売上も維持できているのですが、この頃になると新しい悩みが生まれていました。マネジャー育成ができていないということです。 来患数が更新されると、もちろん嬉しいのですが、その反面、一人ではこれ以上、患者を取ることができないと不安になるのです。マネジャーがいなければ店舗展開ができません。店舗展開できなければ、接骨院として頭打ちです。 そんなときに、タオさんが今度はふくらはぎケアを使った介護事業を始めるということを知り、すぐにFC(フランチャイズ)加盟させていただきました。その介護事業は、クルーオペレーションでできるということと、接骨院と違って朝から夕方までの営業ということに惹かれました。当院には、夕方までなら働けるという、小さいお子さんのいるクルーさんも多かったのです。そして何より、FC契約であるということが大きかったです。ピープル・ビジネス・スクールは継続して受講していたのですが、深くなればなるほど、自分には難しいと感じることが多くなっていました。自店舗に実践できずにいたのですが、FC契約を結べば、自然とその仕組を導入することができるので、これはチャンスだと思ったのです。

クルーが自然と成長していく育成の仕組み

そして介護事業の開始に向けて準備を進めていると、また新たな問題が起こりました。期待していた上位クルーさん3名のうち1人が辞めたいと言ってきたのです。「子どもが大きくなってきたので、フルパートで働きたい」ということでした。皆さんにフルで働いてもらうために介護事業を始めようとしていたのに、それが伝わってなかったようです。なんとか引き止めたいと悩み、中園先生に相談しました。すると、「その方にピープル・ビジネス・スクールを受講させてみてはいかがですか」と言われました。さっそく、そのクルーさんに訊いてみると、「行きたい」と言うんです。1人だけでは贔屓しているみたいなので、一応、他の2人のクルーさんにも訊いてみました。するとこの2人も「受講する」と言うんですね。3名分の費用がかかりますから、嬉しいような悲しいような心境でした。 その甲斐あって、クルーさんを引き止めることができ、上位クルーさん3名を主体とした介護事業がスタートしました。マネジャー不在という状況で、負担はすごくかけてしまったと思います。それでも毎日一生懸命頑張ってくれ、1年半後、ようやく介護事業は黒字になりました。完全にクルーさんだけによる黒字です。 黒字を達成できた要因として、スーパーバイザーの影響が大きかったと思います。下位クルーの育成は私にもできるけれど、上位クルーを育成することについては、正直私にはまだ力不足です。スーパーバイザーは毎月「お客様満足レポート(CSR)」を付けてくれて、問題点を優しく判りやすくアドバイスし、その翌月に問題点が改善されていれば褒め、また新しい課題を与えていました。その繰り返しだったのですが、私が傍で見ていても、上位クルーさんが自分で努力をするんです。改めてスーパーバイザーの存在は凄いと実感し、そして自分はまだまだだと痛感させられました。   黒字に達した半年後には利益も20%を超え、現在は接骨院の売上を上回るほどになりました。私にはとても嬉しい結果です。クルーさんは本当にいつも前向きで、会社のために一生懸命やってくれています。 思えば10年前、「利益のピラミッド経営」との出会いがきっかけでした。個人経営からの脱却の道筋を歩み、自分が変わり、店舗が変わり、見える世界が変わりました。私を支えてくれる仲間にも出会えました。これから10年先、またこうしたお話ができるよう、これからも頑張っていきたいと思います。