私がマクドナルドの仕組みを学んだ理由

7 7月

なぜ、個人店を営む私がマクドナルドの仕組みに興味を持ったのか。

私は腕を磨き、繁盛する整骨院を経営する治療家を目指してきた。そして8年勉強し、すっかり職人気質になっていた。

まず自分の店を繁盛店にすることが最優先であり、チェーン店の経営やマクドナルドには何の興味もない。いや、むしろマニュアル主義でパート・アルバイトによる均一化されたサービスには最も否定的な立場の人間だった。

しかし実際に自分の店を持ってみて、一番苦悩した問題は自分の腕ではなかった。スタッフ、すなわち人の問題だったのだ。

スタッフが急に休む。次々と辞めていく。教えても、教えても仕事を覚えてくれない。振り回される日々。「これが夢にまで見た開業なのか。これが経営者なのか。俺は一生、こんな日々を送ることになるのか・・」愕然とした。

そこでふと思った「他の店はどうしているのだろう?」と。

「確かに、同業者に限らずスタッフを抱えている店は、皆同じような問題を抱えている。しかし、世の中には店を100店、1000店と経営しているところもある。なぜ、成り立っているのだろうか。きっと、問題を解決する仕組みを持っているに違いない」と思った。

まず、私が知りたかったのはシフトの問題だった。レジ係りのような補助的なスタッフでも、急に休まれると店は回らなくなる。人間誰しも病気や急な用事はあるものだ。チェーン店だって、同じ人間がやっているから急な欠勤はあるはずだ。どうやっているのだろう。シフトの組み方に独特のノウハウがあるのだろう。それを知りたかった。

チェーン店の仕組みを学ぶべく、私は飲食店の経営セミナーに問い合わせた。しかし、整骨院では業種が違うということで断られてしまった。やっぱりダメかとあきらめかけた時に日経流通新聞の記事に目と止めた。

日本マクドナルドの仕組みを作った林俊範が開催するセミナー。「あった、これだ!」早速電話してみる。「整骨院なんですが、セミナー参加は可能でしょうか?」。感じのよい女性が言った「業種は問いません。是非いらして下さい。」

これが藁にもすがる思いというものだろうか。すぐに2日間のセミナーに出た。やっぱり間違いはなかった。マクドナルドの仕組みはピープルビジネスと呼ばれ、人の問題を全て解決する方法が揃っていた。私は歓喜した。

そこで知った事実。マクドナルドというチェーン店は、大企業の仕組みではない。スモールビジネス、すなわち個人店のための仕組みだったのだ。

フランチャイズ店として加盟するのは皆、個人事業主。その起業家が人を上手に雇う方法が仕組みになっている。シフトの組み方はもちろん、仕事の教え方まで。

私は全く勘違いしていた。そして知った。チェーン店とは大企業の仕組みではない。個人店の問題を解決する仕組みの集積、すなわち個人経営の近代化なのだと。

マクドナルドの仕組みとは個人店の進化した姿だったのだ。起業から5年目、私は世界一と呼ばれるマクドナルドの仕組みに出会い、もっともっと知りたいと心の底から思った。

中園 徹