誰もが夢と希望を持って店を開業する。その1号店を見事に繁盛店として成功させたら、今度は2店目にチャレンジする。
2号店の成功確率はどれぐらいだろうか?
林先生は断言されていた。「2号店は必ず失敗します!」と。一体、どういう意味なのか。
1号店を成功させた人は、当然2号店も同じように繁盛させることができそうに思う。しかし実際は、多くの人が2号店で失敗するというのだ。
私の住んでいた福岡の住宅街に、ピザがとても美味しいイタリアンレストランの繁盛店があった。オーナーシェフは2号店を中心都市の天神に出店した。
ところが中心地は強い競合も多く、2号店は中々軌道に乗らなかった。オーナーシェフが2号店に注力するうちに、肝心の1号店も徐々に下降気味になっていった。
結局、数年後には2店とも閉鎖して新たな場所に店を出した。だが、そこが以前のような繁盛店になることはなかった。
このように2号店が失敗する事例は私がいた整骨院業界でも多く見られたし、私の知るレストランや美容院、会計事務所でもあった。誰でも周囲を見渡せば、2号店目で失敗しているケースは心当たりがあるだろう。
なぜ2号店は失敗するのだろうか。失敗には大きく2通りのパターンがある。
1つ目は、経営者自身が2号店の立上げに没頭するあまり、会社の収益を支える1号店の客数が減少していき2号店を閉鎖せざるを得ないケース。
2つ目は、1号店ナンバー2の人材を2号店の店長として赴任させるも、その店長が期待通りの結果を出せないケース。この場合、経営者が2号店不振を店長の責任として叱責し、店長が退職してしまい2号店を閉鎖することも少なくない。
2号店の失敗で散々な目にあった経営者の多くは、手堅く1号店の経営に専念することになる。
では、2号店で失敗しないためにはどうすればいいのだろうか。
林先生は言われていた「2号店は必ず失敗します。だから、その時は3号店を出すんです。」
一瞬、耳を疑うような考え方だ。2号店が不振なのに、そこから3号店なんかを出したら倒産してしまうではないか。
それでも林先生は言われた。「ダメな2号店を、あれこれいじくっても何年掛かるかわかりません。だから3号店にチャレンジするんです」と。
確かに、2号店の不振をいとわず3号店に果敢にチャレンジしている経営者は、その後も発展を続けるケースが多い。
林先生の経験法則に基づく言葉の真意は、数年掛かって理解できることも少なくない。
ただ言えることは、2号店の出店は必ず失敗といえるような現象が起こるということ。但し、それを単なる失敗と捉えて退散するのか、学習と捉えて先に進むのかの違いを示唆している。
3号店へのチャレンジこそが発展への分岐点なのかもしれない。
Point 「2号店がダメな時は3号店を出す」
中園 徹