「リクルートにお金をかけてはいけません!」と林先生から教えられた時は驚いた。それまでスタッフの離職を埋める方法は、求人誌を使うことしか知らなかったからだ。
どこかの店舗でパートさんが辞めたと報告がくると、あわてて求人誌の営業さんに電話する。掲載から採用までは2週間はかかる。店は右往左往。そのつど5万円も痛い。
しかし、本来の店舗マネジメントでは、リクルートはお金をかけずに行わなくてはならないという。どういうことなのか。
リクルートには6つの手順がある。
STEP1 : 店舗イメージ
STEP2 : パート・アルバイトからの紹介制度
STEP3 : お客様からの採用
STEP4 : コミュニティとのコンタクト
STEP5 : コミュニティで行う広告
STEP6 : 商圏内プログラム(求人広告)
まず、お店をきれいにすることが一番となる。確かに応募する人は働く店を見に来る。いい職場であればスタッフからの紹介もある。お客様にも目を向けるとスタッフ候補はいる。あとは、コミュニティ(地域)の無料媒体を活用する。求人誌を使うのは最後の手段だ。
大事なことはステップごとに実行すること。テキストにはこう書いてある。
「注:リクルート活動は、必ずSTEP1から始め、そのSTEPが終わらない限り、次のSTEPへは進んではいけません。先に次のステップへ進むのは、時間と費用の無駄になります。」
店長(マネジャー)の育成は、このステップを実行させることにある。手間をかけて、やっと採用できた時の喜びはひとしおである。自然と新人を歓迎し、大切に育てようという気も起きてくる。
もちろん、人手がまったく足りない緊急事態の時は、求人誌に頼るしかない。
だからこそ必要人数を算出し、日ごろからリクルート活動を計画的に行うことが大切だとマニュアルは教えてくれる。
このプログラムを実践してみると、それまで毎月上納金のように支払っていた求人費用が3分の1ぐらいに激減した。その比率は店長の成長度合いにしたがって減ってくる。リクルート活動も人財育成なのだ。
パートさんのリクルートに必要なこと。それは、お金をかけずに高質な人財を確保することである。
中園 徹