QSCとは、マクドナルド創業者レイクロックが提唱した顧客満足の考え方である。 飲食業では一般的な概念だが、僕はまったく知らなかった。
それを初めて知った時の衝撃は今も忘れない。整骨院を開業して6年目のこと。林俊範先生に出会い「Q.S.C+Ⅴ」という概念を知り、衝撃を受けた。
Qは「品質(QUALITY)」Sは「サービス(SERVICE)」、Cは「清潔さ(CLEANLINESS)」の略となる。「クオリティ・サービス・クレンリネス」これらの3つが揃って、初めてお客は「価値(value)」バリューを感じるという考え方である。
QSCは飲食業だけのもので、他の業種にあまり関係ないと思いがちである。僕自身も「マクドナルドは別業種だから・・」と内心思っていたが、そうではなかった。世の中には繁盛店と廃れていく店がある。その明暗を分けるものは何だろうか。 全く解らなかったが、QSCを知ることで、違いを明確に把握することができるようになった。
28年前。僕が整骨院を開業した時、どうすれば患者さんが増えるか非常に悩んだ。 当時は「腕を磨けば成功する」との業界常識があった。 僕は、腕を磨いている諸先輩方の整骨院を、厚かましくも見学するたびに業界常識は事実ではないと思った。 腕を磨いているのに繁盛しない先生も多くいた。その理由がわからなかった。QSCを知った時にすべての謎が解けた。
いくら腕を磨いても、態度が悪く、店が汚い整骨院は繁盛しない。逆に腕が少々未熟でも、一生懸命に患者さんに向き合い、清潔な整骨院は流行っていた。 整骨院の成功要因も「Q.S.C」だと確信した。
QSCに力を入れて行くと、整骨院の患者さんもさらに増えていった。その後、デイサービスに業種転換したが、顧客満足に対してQSCという原則に変わりはなかった。
なぜQSCがそんなに大切なのか? 先生は次のように言われていた。
「 QSCは、お客様から見た店舗のイメージであり、いかなるビジネスにも当てはまる最高のセールスツールです」と。
地域の片隅で営業する僕の整骨院やデイサービスであっても、QSCの重要性は同じだと思った。
マクドナルドの創業者レイ・クロックは、生涯言い続けた。
「我々は商品ではなく、QSCを売っているのだ。」
レイ・クロックが亡くなって40年近くが経つが、驚くことにマクドナルドはいまだにQSCを追求し続けている。マクドナルドが、世界百カ国以上で外食産業のトップを走る強さの要因は、QSCのあくなき維持・向上にあるのだろう。少しでも見習いたい。
中園 徹