「Q.S.C」はどのように導き出されたのか

5 3月

マクドナルドを世界中で成功に導いた「Q.S.C」という概念はどのように導かれたのだろうか?

2001年。林俊範先生から「Q.S.C+Ⅴ」という概念を教わって衝撃を受けた僕は、どのようにして「Q.S.C」がどのように導かれたのかとても興味を持った。

参考になったのが、今や絶版となっている「マクドナルド わが豊穣の人材(ダイヤモンド社)」という本だった。当時は入手が困難だったため、5,000円ほど出して手に入れて、むさぼり読んだ。

 

本には「マクドナルド」というファストフード店が、できるまでの経緯が細かく書いてあり、とても勉強になった。マクドナルドの歴史は、現代のスモールビジネスでも十分に通用するノウハウがつまっている。

1937年。ディックモリスというマクドナルド兄弟が、マクドナルドの原型となる店を作った。彼らは、ごく普通のドライブにレストランを経営していたが、競争が激しく苦境に陥った。そこで、店のオペレーションを全面的に変革して、「マクドナルド」というハンバーガーのファストフード店を作り上げた。彼らの店はたちまち大行列の繁盛店になった。

当然、彼らもフランチャイズビジネスとして、店のノウハウを人に教え始めた。しかし、2年間でたった15軒の加盟店ができたが、誰も成功できなかった。なぜマクドナルド兄弟の加盟店は成功できなかったのか?

飲食業としても経験がある加盟店の人たちは、自分で思い思いのメニューを加えたり、工夫を凝らしたりして、マクドナルド兄弟の店に手を加えた。 それが結果的に繁盛店から遠ざかってしまったようだ。

現代のスモールビジネスでも、せっかく成功している親方の下で何年も修業したのに、独立後は師匠の教えを忠実に守らず、成功できない人が多くいるパターンと似ていると思った。

マクドナルド兄弟の繁盛店を完全にコピーして成功した唯一の人間が、のちの創業者レイ・クロックだった。

クロックは天性の才能で、兄弟の店が成功した要因を見抜いた。その成功要因とは、低価格で質の高い商品、スピーディかつ効率的に、清潔で居心地のよい空間で提供することだと捉えた。それを誰も再現できるように導き出した公式が「Q.S.C」だった。

Qは「品質(QUALITY)」Sは「サービス(SERVICE)」、Cは「清潔さ(CLEANLINESS)」の略です。これらの3つが揃って、初めてお客は「価値(value)を感じるという考え方。これをレイ・クロックは世界中で標準化したのだ。

なぜクロックは、他の飲食業のベテランたちが見抜けなかった成功要因を「Q.S.C」として導き出せたのか?

業界のプロたちは業界の慣習や固定概念にとらわれて、マクドナルド兄弟の店の真の成功要因を見抜くことができなかった。それに対して、レイ・クロックは飲食業経験のない営業マン。だからこそ、マクドナルド兄弟の店を細部に渡るまで観察して、全く同じ店を作るように忠実に再現した。クロックが素人だったことも「Q.S.C」を導くことができた要因だったのだろう。

「Q.S.C」の成り立ちを知ったことで、僕も林先生から教わる「Q.S.C+Ⅴ」を素直に聞けるようになった。それまで心のどこかで「自分のビジネスは整骨院だ。飲食業とは違う」と思っていたが、少しずつ変化が出てきた。

業界常識や旧来の慣習にとらわれるのではなく、素直な素人としてのお客様の目が必要なのだと思えるようになった。

 中園 徹