ピープルビジネスを通して学んだ本当のこと

14 2月

誰もが成功を夢見て起業する。しかし多くの起業家が壁にぶち当たる。起業から10年後の生存率は約26%とも言われている。一体、何が問題なのだろうか。

僕は脱サラして32歳で整骨院を起業した。おかげさまで少しずつ忙しくなり、パートさんやスタッフを雇い入れ、はたと気づいた。自分には労務管理の知識がゼロだということに。

人を雇うということを全くわかっていなかった。お金を払って求人誌に出せば、多少は人が来てくれたが、給与をいくら払えばいいのかわからない。以前の職場の同僚にも来てもらったが、毎年昇給させていかなければいけない。どうやって給料を上げていけばいいのか。

また、雇った人が次々と辞めていく。いったい、僕の何が悪いというのか。この間、楽しく飲んだばかりじゃないか。手伝ってもらっている主婦のパートさんも、子供が熱を出すとすぐに休んでしまう。経営者自身にやる気があっても、人の穴を埋めることはできない。

救いを求めて成功者と呼ばれる名経営者の本を何冊も読んだ。素晴らしい哲学は書いてあるが、具体的な人の雇い方や給料の払い方は書かれていない。具体的に人が辞めたり休んだりしたときに、どのようにシフトを埋めたらいいのか、その方法だけでも知りたいと思った。

そんな時、日経流通新聞で日本マクドナルドの仕組みを作ったという林俊範先生のピープル・ビジネス・スクールの広告を見た。「これだ!」と思った。マクドナルドなら店も多い。きっと、上手なシフトの決め方ぐらいはわかるかもしれない。とにかく藁をもつかむ思いだったが、大きな期待はしていなかった。

ところが、実際に林先生のセミナーに参加してみると、人の採用の仕方、仕事の教え方、時給や給与の決め方が、すべて仕組みとして確立されていて驚いた。これがマクドナルドの仕組みなのか。

同時にこれまで経営本を読んで常識だと思っていたことが次々と覆された。大企業の経営とスモールビジネスの経営は全く違うと知った。

林先生は「マクドナルドは大企業ではなく、一店舗一店舗のスモールビジネスです」と言われていた。そして「スモールビジネスは、大企業に勝つための仕組みを作らなければいけません」と。崇高な経営理念も大切だが、まずは仕組みを作ることが必要だという。

スモールビジネスはピープルビジネス。「売上は人で獲る」そのための仕組みをしっかりと構築することが大切であることを教えられた。「売上=人」だと。

スモールビジネスの仕組みづくりは簡単ではないが楽しかった。ひどい飽き性の僕でも、全く飽きることがない。経営に無知な僕に対して林先生は、就労経験のない学生バイトに仕事というものを諭して教えるような感じで接してくれた。林先生に接することができた10年間は夢のようだった。

ピープルビジネスに出会い、起業から30年経った今、個人店が小さな会社となり、そしてM&Aで会社を次世代につなぐことができた。これも林先生から教えられた仕組みのおかげだと感謝している。もし、ピープルビジネスに出会っていなかったら、跡形もなくつぶれていただろう。

だが、いまだに「ピープルビジネスとは何か」をうまく説明はできない。このブログでは、林先生から教わったことや、過去の失敗と反省を振り返り、ピープルビジネスを基本から見直して行きたいと思う。

また僕の経験が、かつての僕のように、出口が見えず眠れない不安の日々を過ごしているスモールビジネスの経営者に少しでも参考にしてもらえると嬉しい。

「本当のことに出会うことによって、私に生きる力が沸いてくる」(林俊範)

中園 徹