あるクライアントさんのところでベトナムからの研修生に会った。20代の好青年3人である。これから3年間、技術修得のために家族と別れて日本で暮らすと言う。
彼らは日本語の勉強を数ヶ月しただけなので、まだ会話もままならない。彼らのような外国人を雇用し育成するために必要なことは何であろうか。
外国人なので外国語のマニュアルを準備して、指導する日本人も外国語を勉強して日常会話ぐらいできなければいけないのだろうか。
林俊範先生が外国人雇用に関して言われたことは全く逆であった。先生は1980年代、アメリカマクドナルド研修時代、ベトナムからの避難民をアルバイトとして雇用し、1年で店長に育成した経験をお持ちだった。
林先生の次のように言われた。
「日本では外国人を雇うのに、外国語のマニュアルを作ったり、こちらが外国語で話したりする。そんな人間的性を失わせるようなことをしてはいけない。彼らはすばらしい能力を持っています。だから、日本語のマニュアルを使い、日本語で教えるんです。彼らはちゃんとマスターします。その際、日本人と同じ給与で、同じ評価をしてあげることが大切です。」
単身、異国の地へ来て仕事をしようとする外国人の潜在能力は計り知れないものがあるそうだ。たとえ言葉が話せなくても、半年もすれば仕事に必要な言葉はマスターするという。
私が話したベトナム人研修生の一人は、妻と1歳半の娘を置いてきたという。その彼も家族の話をする時は涙ぐんでいた。彼らだって故郷を出ることはつらいし、本当は寂しいのだろう。でも、日本で頑張ろうという決意と覚悟はひしひしと感じた。
これから日本にも多くの外国人が働きに来るだろう。その外国人を育成するためには、日本語のマニュアルと日本人と同等の評価制度があればいいのだ。その際、大切なことは日本人と外国人が同じトレーニングを受けて、同じ待遇を得ることではないだろうか。
「外国人の育成に必要なのは日本語のマニュアルである」 林俊範
中園 徹