あるトレーニング施設を経営する企業さんで、社員の方から質問があった。
「今度、新たなサービスをお客様に提供しようと考えていますが、その値段の決め方で迷っています。皆で相談してお客視点の値段を決めるのか、それとも現場の責任者である私が考えて決めるのか。どちらがいいのでしょうか。」
答えはどちらでもない。正解は「値段は社長が決める」である。
利益のピラミッド経営法では「商品=社長力」となっている。
その会社でお客様に提供する商品やサービスの品質や値段決めは、すべて社長の専権事項であると林先生から教えられた。
なぜ、社長が決めなければならないのだろう。
もし、社員が値決めをして失敗したらどうなるか。もちろん失敗によるショックや叱られることで落ち込むこともあるだろう。しかし個人的なリスクはないに等しい。
しかし、社長の場合は違う。値決めの失敗は、そのまま売上・利益の低迷につながる。最悪の場合は個人資産まで失うリスクを抱えている。
もちろん社員からの値決めの提案はいいとしても、最終決定は全責任を負う社長がするのが基本だと林先生から教えられた。
時として社長の判断は、社員には理解できないこともある。
林先生は次のように言われていた。
「社長の世界5次元です。社員には理解できないことも多くあります。」と。
冒頭の企業さんでは、社長が新しい会員向けの月間サービスを8,000円と12,000円に決めたそうだ。
その時、社員さんたちは「高すぎる。もっと安く5,000円ぐらいにしないと誰も来ない」と意見したそうだ。しかし社長は「いや、このサービスであれば決して高くない」と強気の決定をされた。
実際にスタートしてみると、売れ筋となったのは8,000円のサービスではなく、なんと12,000円の方だったそうだ。
この話をしてくれた社長は「ほら、俺の言う通りだっただろう」と社員さんに向かってニッコリ笑った。
商品の値段を決めるのはただ一人。社長である。
中園 徹