最強マネジャーとは何か

22 9月

 

店長の育成で悩む人は多い。私も腕のいい職人が店長の条件だと錯覚して大失敗を重ねてきた。ピープルビジネスに出会い、店長の育成とは最強マネジャーの育成であると知った。

では、マネジャーとは何をする人なのだろうか。「店をマネジメントする人」ということは誰でわかる。でも私は「マネジメント」の本当の意味を理解していなかった。

「マネジメントってどういう意味ですか?」と質問すると、人によって答えは様々だ。「管理する人」「現場の人を育てること」等々。言葉は通じても意味はバラバラなのが現状だ。

マネジメントの語源は、ラテン語で「手」を意味する「manus」。「馬の手綱をとること」という意味とのこと。野性の馬を飼いならすといった意味からおり、自分の意のままにならない野性の馬を思う通り動かす。それがマネジメントの語源だという。

マネジャーの意味を置き換えて考えてみたい。現場のマネジャーが意のままにできなくて、困っていることは何だろうか。大きくは2つある。

一番目は「人」である。ビジネスで誰もがぶち当たる最初の壁が「人の問題」だ。「人」とは誰を指すのか。比較的コントロールしやすい順に考えてみると「自分、家族、友人、最後が他人である部下」となる。大抵、起業した人もこの順で人員を揃える事が多い。

では、自分をコントロールすることは本当に易しいだろうか。自分の行動や感情を思いのままにできる人は少ない。家族や子供は思い通りに動いてくれるだろうか。ましてや他人である従業員を意のままに動かすのは至難の業だ。

二番目。「人」と同じくコントロールが難しいことは何か。それは「時間」である。

起業家は何でも自分一人でしなければならない。そして徐々に時間が足りなくなってくる。やがて睡眠を削らざるを得なくなる。最後は時間の制御が利かなくなり倒れる人もいる。

自分の時間の使い方をコントロールするのは容易ではない。ましてや、他の人の分までコントロールすることは想像を絶する。

誰もが意のままにできないのが「人」と「時間」である。逆にこれを意のままに動かすのが「最強のマネジャー」であると林先生に教えられた。

ピープルビジネスにおける「最強マネジャー」とは、「人」と「時間」を意のままに動かして「売上・利益」を計画通りに達成することができる人を指す。

なぜ、腕のいい職人を店長にしてもうまくいかなかったのか。職人だからダメなのではない。マネジメントを知らない、教えられていないことが問題だったのだ。

「最強マネジャー育成」には修得すべき手順がある。初めが「現場作業の修得」次が「人」と「時間」である。

人の部分では、「人の募集・面接・採用・初期教育」そして「人への接し方」「仕事の教え方」となっている。次に時間のコントロール。まず自分の時間の使い方をマスターして、次に部下の稼動計画をマスターする。

「人と時間のマネジメント」を習得して、次の段階として売上・経費・利益などの「数値コントロール」ができるようになる。

多くの起業家がマネジメントを知らないまま失敗していく。レイクロックはこの部分をマクドナルドの教育プログラムにしたことで、フランチャイズ展開を成功させたのだった。

マネジメントの修得に業種・業態は関係ない。「人」と「時間」と「数値」。これを思いのままにできる人こそ最強マネジャーである。

 中園 徹