なぜ普通のレストランがマクドナルドになったのか ②

18 1月

マクドナルド兄弟は繁盛している店を3ヶ月も休業して改革にのぞみました。その手法は現在のあらゆるビジネスにも応用できるものです。

彼らは、まず過去3年分の売上伝票を分析しました。25種類あるメニューで何が売れているのかを分析したのです。すると、売上高の80%がハンバーガーであることに気付きました。

彼らは料理人としてバーベキューにこだわっていました。しかし、いくらバーベキューに力を入れても売れていくのはハンバーガーでした。職人のこだわりと実際にお客が求めているものは違うことに気付いたのです。

彼らはこだわりを捨て、25種類のメニューを売れ筋の9種類に絞りました。さらに売上を上げるために、商品提供のスピードが重要であることにも気付きます。

何とウエイトレスの注文取りを撤廃し、お客自身が直接注文するセルフサービスに切り替えたのです。調理場もスピーディな大量生産ができるように改良。10分程度の提供時間を30秒に短縮しました。食器類もペーパー類に変えることで洗う作業もなし。この改革でコストは大幅に削減され、1人当りの生産性は飛躍的にアップしたのです。

最後の課題は品質の向上と安定です。従来の料理はコックの技能により味が左右しました。また、いくら腕の良い店主であっても、朝から晩までの過酷な労働で料理の質は次第に低下する傾向もありました。

そこで兄弟は料理の手作業を初心者にできる分業体制にしたのです。このことにより、一定の品質のハンバーガーを低価格でスピーディに提供するというファストフードの原型ができたのです。

個店経営の店が経営改革すると多くが逆のことをしていました。職人として料理のこだわりを強化する。新商品などを増やしメニューを増やす。お客様満足を上げるために作業を増やす。何もかも「増やす改革」をするのです。

しかし結果として、従来の人気商品まで質を落とす結果となり益々ジリ貧になるのです。多くがこのパターンです。マクドナルド兄弟のすごいところは「減らす改革」をした点にあります。

「いや、それは昔の話だ」「飲食業の事例だ」「うちには通用しない」と思うかもしれません。しかし時代を問わず成功している多くは「減らす改革」です。スティーブ・ジョブズが経営不振のアップルを立て直すために15製品あった商品ラインナップを4製品に絞った改革は有名です。

マクドナルド兄弟の「減らす改革」改革は大成功しました。行列がとぎれないほどの大繁盛店になったのです。売上も40%近くもアップし、人件費は従来の3分の1です。さらに開業費用も25万ドルかかっていたものが8万ドルで可能となったのです。

店に例えてみると、月間300万円の売上が420万円に増えて、150万円の人件費が50万円に縮小。開業費用2500万円が800万円にコストダウンする革命的なビジネスモデルが生まれたのです。

彼らがしたことはシンプルです。自分が売りたいものではなく、お客様が買いたいものを売る。職人的なこだわりを捨て、メニューを絞る。品質を上げる。無駄なサービスをやめる。提供時間を短縮する。大事な仕事を分業体制にする。

マクドナルド兄弟の勇気ある改革を自分のビジネスに置き換えて考えてみることが経営改革の第一歩ではないでしょうか。

「彼らはある決断を下す。人気のあった店を閉め、テークアウト中心という新しい経営方式で再びオープンした。サービスとメニューを最小限に抑え、これが後に全米各地で次々にオープンするファストフード店のモデルになった。」 レイ・クロック

中園 徹