あらゆる業界において人手不足が深刻化しています。中には店舗や営業自体を閉鎖せざるを得ない深刻な状況も出ています。
また、労働者の人口も減っており、2010年から2020年にかけて411万人も減少すると見込まれています(厚生労働省)。
そこで、各企業が目をつけたのが潜在的な労働力であるシニアと主婦層を中心とした超短時間勤務者です。
65歳以上のシニアは体力的な事情でフルタイムの仕事は困難ですが、短時間であれば就労が可能です。
また、主婦層は子育てなど家庭的な事情により固定した時間のフルタイムもやはり困難ですが短時間勤務なら可能です。
これらの潜在的な労働力を活用するために生まれたのが「超短時間勤務」という雇用形態です。具体的には「週1~2日」「1日1~3時間」という短時間でOKという労働条件です。
かつては多くの企業が、自社に応じた雇用条件でしか人材を採用していませんでした。「固定シフトで出勤できる人、急に休まない人を求む」といった感じです。このためシニアや主婦層も活躍の場が限られていました。
ところが、人材不足が深刻化したため、雇用側がシニアや主婦層などの潜在労働力に寄り添う形で「超短時間勤務」の人も採用し始めたのです。これが最近注目されている「超短時間勤務」です。
では、募集条件を「超短時間勤務」として打ち出せば、人材不足は解消できるでしょうか。確かに求人の応募は増えるかもしれません。しかし、超短時間勤務は現場で即導入できるほど簡単ではありません。問題は雇用してからあとです。
超短時間勤務の人たちの勤務希望とシフトをすり合わせるしくみも必要です。また、短時間勤務の人に仕事を修得してもらうための教育訓練の方法も確立しなくてはなりません。
逆にこれらのシフト調整や、技能訓練(トレーニング)のしくみさえ整備できれば、超短時間勤務の人たちを人財として活用できるのです。
そのために必要なのは、シニアや主婦層である超短時間勤務の方たちを理解することです。仕事に何を求めて、どのような条件であれば喜んで働いてくれるかを、雇用側が理解して条件整備をすることが最も大切かもしれません。
中園 徹