人材確保の最高モデルはマクドナルド

2 6月

新たな経営再建を模索しているマクドナルドだが、人材不足に悩む中小企業には、最高のモデルとなるかもしれない。

人材不足に悩む中小企業は多い。新入社員はおろか、中途入社でもまともな人が中々来ない。さらに次世代の会社を継いでくれる経営者候補を確保するのは至難のわざだ。

アメリカの小さな飲食店だったマクドナルドも同じことだった。人材が必要でも、まともな人は誰も来ない。いくら売れるハンバーガーがあっても、夫婦だけの家族経営では限界がある。未来に向けての発展は困難だ。

そこで創業者のレイ・クロックは、アンダーニースと呼ばれる社会の底辺にいる移民や少数民族、若者や女性などにも目を向けて、パート・アルバイトとして戦力化してきた。さらに、年齢や性別、学歴や国籍も関係なく誰にでもチャンスが与えられた。その後、マクドナルド歴代社長の多くは、パート・アルバイト出身者から生まれている。

レイ・クロックが開発したのはハンバーガーではない。人財育成の仕組みだ。マクドナルドのフランチャイズに加盟するスモールビジネスのオーナーが一番困るのが人の確保と育成と見抜いていた。そこで人財育成に多大な時間と費用をかけて仕組みを開発したのだった。

当然、人材確保の方法もマニュアル化されている。人材確保ために「リクルートの6ステップ」というのがある。

STEP1 店舗イメージ

STEP2 友人紹介制度

STEP3 お客様からの採用

STEP4  地域社会グループのコンタクト

STEP5 地域社会で行う広告

STEP6 商圏内プログラム(求人広告)

これを忠実に実行すれば、最低限の費用で人材を確保できる。マクドナルドのマニュアルは、作業手順書ではない。具体的なノウハウや考え方、実学なのだ。

人材確保に業種・業態は関係ない。いくら売れる商品やサービスがあっても、肝心の人がいなければ売上はあげられない。逆に言えば、人材確保と育成ができれば、競合に大きく差をつけることができる。

売れる商品はあるが、社員が採れない、後継者がいないと悩む経営者は、視点をパート・アルバイトに目を向けることも新たな戦法になる。その意味でレイ・クロックの作ったマクドナルドは人材確保の最高モデルではないだろうか。

 中園 徹